備忘録~軒下~

昔のはなしである。

昔住んでいた家では、犬を沢山飼っていた。小さい私は犬に混ざって庭を走り回ることが多かった。

ある日、犬と食べるためにおやつを持って離れの縁側から庭に出た。

犬達は普段ならば我先にとおやつを貰いにやってくるのだが、その日は全く来なかった。

 

小さい私はどうにか縁側から降りて、犬を探しに庭に下りた。犬が好きな茂みの方に近づいていたとき、ふと後ろに白い何かが動いた気配がした。

 

犬だ。と思った私は後ろを振り向いた。

それは軒下にするりと消えていところで、大きな白い蛇だった。

あれ?犬じゃないな。とそのときは思っただけだったが、後から考えるとどうにもおかしい。

うちの軒下は小型犬が入れないように、しっかりとした金属の檻がついていた。かなり目も細かく、大きな蛇が入れるような隙間はなかった。

 

一体あれは何だったのか、今でもまったくの謎である。

 

関係ないかもしれないが、私が住んでいた地域では蛇信仰があったらしい。